最後の一夜が授けた奇跡
「いいなー。こういうの。疲れが全部吹き飛んでく。」
「よかった」
律樹の言葉に私は少し救われる思いだった。

お父さんに、理事長に律樹は何を言われたのだろうか。

きっとひどいことを言われたに違いない。
それなのに、一人で抱えようとしている律樹。
そして、私を不安にさせないように、体調まで気遣ってくれている律樹。

私は少しでも心も体も休んでほしくて、本当は起きていても寝たふりをした。

すぐに隣から寝息が聞こえてくる。



このまま幸せな時間が止まってしまえばいいのに・・・

そんなことを考えながら私もいつの間にか眠りについた。
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