最後の一夜が授けた奇跡
そして私のお腹に耳をつける。
「ありがとう」
お腹の子に向かって話しかける律樹。

お腹の子と話をするときの律樹の顔が私は大好きだ。

どこまでも優しく、穏やかな顔。
それでいて頼れる父親の顔だ。

この子が生まれたら、律樹がこの子を抱く姿を見たい。

心からそう思う。

私のお腹も平らだったお腹が少しだけ出てきている。
お腹を撫でながら律樹が微笑む。

「どんどん大きくなってるな」
「うん」
「今日はどうだった?具合は?」
「つわりもだいぶ楽になった。」
「張ってない?」
「時々だけ」
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