最後の一夜が授けた奇跡
「おかえりなさい。」
「ただいま」
契約を決めた律樹。それでも店舗がオープンするまでにかなり大変なスケジュールで、毎日帰宅は深夜近かった。
「寝て待ってていいんだぞ?無理して起きてることないからな?」
「大丈夫。お昼に寝ちゃってるし。」
「ならいいけど。」
毎日律樹は帰宅してからお風呂の掃除をしてくれて、一緒に入る。

「ごはん、できてるから」
そう言って私が先に部屋に入りキッチンへ向かうと、部屋の中を見て律樹が私の方へ近付いた。

「季里」
「ん?」
食事を温めている私の後ろから抱きしめる。
「無理してないか?」
「え?」
「なんか、急に頑張りすぎてる気がする」
「そんなことないよ」
心配そうな律樹に私は言う。
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