最後の一夜が授けた奇跡
結局、熱がこれ以上上がったり、翌日になっても熱が続くような時は病院に来るように言われただけで済んだ。出血やお腹のいつも以上の張りは今のところない。

「ばかって言わなくてもいいでしょ」
律樹の言葉が引っ掛かっていた私。

「バカじゃないもん」
「バカだ」
「バカじゃない」
ベッドに私を横に寝せて、私の額に冷却シートをつける律樹。
その顔が怒っている。

「焦りすぎなんだよ。急ぎすぎなんだよ。」
「だって・・」
「でも季里を焦らせてるのは俺か。」
急に落ち込んだような顔になる律樹。

「・・・」
「俺が季里を焦らせちゃったな。ごめん。」
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