最後の一夜が授けた奇跡
焦りすぎていた私の気持ちだけじゃなく、律樹は私の覚悟もわかっている。

「一緒にいるって、そういうことだよな。」
「・・・うん」
「理事長にあったら、一緒にデパートの部屋に引っ越そう。大変な思いさせちゃうと思うけどさ。ついてきてくれるか?」
「もちろん」
私の言葉に律樹は嬉しそうに微笑んだ。

ベッドに横になっている私の横に一緒に横になる律樹。

「まずはこの子が落ち着くまで、もう少し辛抱しよう。」
「うん」
私のお腹にいつものように触れる律樹。

「休めるときにしっかりと休むこと。」
「うん」
「今は体を休めて、食べられるときに食べて、この子を守ることが一番の仕事なんだから。」
「うん」
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