最後の一夜が授けた奇跡
「おっ動いてる」
最近律樹でもわかるくらい赤ちゃんが動くようになっている。
「うん。蹴ってるね。」
「かわいいなー」
「うん。」
動いている部分をゆっくりとさすりながら微笑む律樹。

「もう少しだけ、頑張ってくれよー。」
「そうだね」
「この子がいたらなんだって頑張れるけどな」
「うん」
「理事長に挨拶をしたら、引っ越しの準備をして、季里のお母さんにも改めて挨拶に行って、籍を入れよう。」
「うん」
「忙しくなるぞー。」
「うん」
それでも、そんな忙しさは私たちの目標だったものだ。
全く嫌じゃない。
むしろ早くその忙しさを迎えたいとおもってしまう。
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