最後の一夜が授けた奇跡
「容赦なく、これから経営状況も把握する。経営が悪化した時は私の本望ではないがお前を社長から辞任させる。あらかじめ、重役たちにもその話は私から伝える。」
「はい」
「明らかに経営状態が悪くなる傾向を見つけた時にも私は否応なしに判断する。お前を辞任させると。」
「はい」
かなり厳しい条件だ。

挽回のチャンスなく、社長としてたった一度しか律樹にチャンスが与えられないということだ。

「それでもその人と結婚したいか」
「はい」

迷わずに返事をしてくれる律樹。

もう迷わないと決めたはずなのに、私のせいでこういう事態になっていることに、心が痛む。
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