最後の一夜が授けた奇跡
ちゃんとこの部屋にさようならをして、前に進む瞬間。

律樹は私の手を強く握りながら一緒にいてくれた。

これから始まる生活は決して安易なものではない。

でも、律樹とお腹の子と三人でスタートを切る。

新しいスタートだ。


「行こうか」
私の言葉に律樹は優しく微笑み頷いた。

「あぁ。行こう。」
強く強く手を握ったまま、私たちは部屋を出た。


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