最後の一夜が授けた奇跡
私の気持ちを察して律樹は明るく言う。

「よしっ!」
そう言って律樹は私のことをお姫様抱っこした。

昔一緒に観た海外の映画に、こういうシーンがあった。

「ちょっ!」
引っ越しの業者が私たちを見て見ぬふりしているのが恥ずかしくて私は律樹の首に顔を埋める。

「重いのに!」
「だから言っただろ?二人分なんだ。重くないと困る。」
妊娠してつわりで減っていた体重が最近妊娠中期になりもとに戻ってきている。

「ばか・・・」
「いいだろ。一生に一度のことなんだからさ。」
そう言っている律樹はうれしそうに笑っている。

「季里はここで待ってて」
< 241 / 500 >

この作品をシェア

pagetop