最後の一夜が授けた奇跡
律樹のそんな切ない顔を見るのは、あの夜以来だ。


最後と決めていた一夜に見たような切なさに満ちた表情。


「・・・っ」
体に力を込めようとしたときあまりの激痛に私は顔をゆがめる。

「痛むかっ?」
律樹は慌てて私の額に触れて、顔を近付ける。

「痛いよな。ごめんな。」

どうして律樹が謝るのかわからない。

・・・・謝るのはどうし・・・



朦朧としている意識の中で私はお腹の赤ちゃんのことが頭に浮かんだ。
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