最後の一夜が授けた奇跡
でも、そんな律樹にはもう会えないのだと思うと、切なく悲しい。

私はずっと決めていた。

高校生の時、律樹に告白されて付き合い始めることを決めた時から。

律樹が社長に就任したら、私は律樹から離れると。


律樹は昔から私に正直にすべてを話してくれていた。
自分がいつかデパートの後継者として、社長になること。
そのために大学は経済学部に進学することが決まっていることも。

そして・・
幼いころから決められている許嫁がいることも。

律樹はちゃんと私を考えて、大切にしたいから、事実を言ってくれた。

そんなまっすぐな律樹と一緒にいればいるほど気持ちが膨らんでも、私は決めていた。
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