最後の一夜が授けた奇跡
「ごめんなさいっ・・・今は無理です・・・」
必死に絞り出した声。
どうか泣いていることが悟られませんようにと祈るような気持ちですぐにまたマイクをふさぐ。
『季里。どうした?泣いてるのか?』
私たちが一緒にいた時間は長い。

『どうした?今どこだ?』
「何でもないっ・・・」
『なんでもないわけないだろ。今から行く。』
「だめ!」
律樹の言葉に私は慌てて言う。
「だめ。来ないで。だめ」
どれだけの思いをして別れたと思ってるのよ。
今律樹が来たら、すがってしまう。
頼ってしまう。
離れられなくなってしまう。

「お願い・・・来ないで・・・お願い・・」
必死にお願いをする私。
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