最後の一夜が授けた奇跡
『季里』
少し低くなるその声。
私はこの声に弱い。

いつもより低い律樹の声には心配が込められている。
『今行くから、待ってろ。15分で行く。』
律樹はそう言って電話を切った。

どうしよう・・・律樹が来ちゃう。

私は動揺したままの震える体で思考を巡らす。

片づけはそれまでには終わらない。
今この部屋をあけるわけにはいかないけど・・・律樹が来てしまう。

近くのコンビニに行ったとしても私の行動なんて律樹にはすぐにばれてしまうに決まってる。

ならば・・・
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