ブラインドネス・シンドローム
5.
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こうして毎日先生と共に先生の研究をお手伝いし、日々治る方法を探しながら共に生活をしていた。
先生の部屋の間取りも診療所の間取りも、そして先生の生活リズムも分かるようになったのは私が先生の家にきて三週間を過ぎた頃だった。
朝ごはんも身支度も何もサポートして貰わずに、自分でできることが増えてきたそんな日。
今日も今日とて先生との問診の時間が始まった。
「何か不安なことはある?」
「特にないです」
いつもと変わらないその問診の内容を私は何度も何度も繰り返すが、答えは何も変わらない。
先生のサポートなしでも今は不安なことはなく、慣れってすごいと実感する程だ。
ただ強いて言えば、先生とのこの生活に時々緊張が走ることは暫しあることだろう。
時折一人でシャワーを浴びていると、手伝おうかとからかわれたり、食事中も先生が食べさせてこようとしたり距離感が時々分からなくなるのだ。