ブラインドネス・シンドローム
6.











トン、トンと規則正しく私を落ち着かせるように優しく叩かれながら、その温もりがどうしても欲しくて私は重たい意識の中その温もりに向かって手を伸ばす。

そして掴み取った温もりが私の頬を撫でて、ゆっくりと意識を取り戻させた。

ギシリと軋む音と時計が時を刻む音が耳に届き、ここが先生の部屋のベッドであることを示す。


「体調はどう?」

「せ、ん……せい?」


温もりのあるその声はしっかりと私を包み込み、抱きしめていた。


「帰ってきたら倒れている千鶴さんを見つけて、少し寿命が縮んだよ」

「……ごめんなさい」


迷惑をかけないようにしようと決めて今日まで生活していたというのに、出来なかった自分が腹立たしい。

でもそれよりも今は、先生を安心させることの方が最優先事項だ。


「ちょっと疲れただけで、そんなに心配しなくても大丈夫です」

「それは違うよね、千鶴さん」


あの優しい先生の声がやけに重たくて少しだけ鋭い。

やはり私が迷惑をかけたことに対して怒りを感じているのだろう。







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