ブラインドネス・シンドローム



「朝まで帰すつもりないから、覚悟しておいてよ」


その意味を全て理解した私は抵抗するしかないと、男性の腕を振りほどく。


「結構です。帰らせていただきます」

「んだよ、人がせっかく優しくしてやってるって言うのに、痛い目に会わないと分からねえの?」

「脅しですか」

「っ!ふざけんなよ!」


声からして怒らせたのは分かりきっているが、ここは逃げるしか私には方法がない。

ただ今の目が見えていない私には、行動するまでには時間が掛かりすぎて気づけば手首をきつく握られていた。


「離して下さい!!」

「こんな人の気配がない場所で抵抗しても無意味なんだよ!さっさと来い!」


流石に男という生き物の力の強さには勝てる術もなく、私は持てる力を振り絞ってその男性を振り払おうと必死に体を動かした。


「言うこと聞かねえってんならっ……!」


その言葉の続きは何となく予想ができて、痛みがどこかに走ることを身構えてきつく目を閉じた。





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