七色の魔法使い~冬に溶けた涙~
「うん……」

大智もトラックを飛び越えていった。僕はそれを見られるのが嫌だったから、狭い道を通ってトラックの裏側まで走る。

「……輝一……」

「……」

俯いてた輝一は、ゆっくりと顔を上げると僕に抱きついた。

「……え?」

突然のことに、僕は戸惑うことしか出来ない。

「……俺、冬都を失うんじゃないかって怖かった……どんな過去を持っていようと、俺には冬都が必要なんだ……だから、消えないで」

僕の服を掴んで、震えた声で輝一は言う。

「……ごめん」

僕が輝一に謝った瞬間、妖魔の叫び声が近くから聞こえてきた。輝一はその叫び声を聞くと、僕から離れる。

「……冬都、輝一。魔法で姿を消して……戦うよ」

「いや……ここだと戦いにくい。場所を変えよう。それに、ここで戦うと関係のない人たちまで巻き込む」

「……確かに……」

僕の言葉に、アイビーは呟いて何かを考え込んだ。そして、アイビーは杖を構えると呪文を唱える。

地面に魔法円が現れて、僕の視界は光に包まれた。それが収まると、僕らはどこかの森にいる。

輝一と大智、そして僕は、フォルトゥナでの服を着ていた。

「……誰も見ていなかったので、僕と輝一、大智と冬都……そして、妖魔に魔法をかけてこの世界に連れて来ました」
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