七色の魔法使い~冬に溶けた涙~
「……あれが妖魔です」
館がある森の中。杖を握り締めたアイビーは、茂みに隠れて、怪物に指を指す。
「……ここから見ててくださいね」
アイビーはそう言って妖魔の前に飛び出すと、杖を構えた。妖魔はアイビーの姿を見ると、アイビーに飛びかかる。
妖魔の攻撃を杖で受け止めたアイビーは、妖魔を吹き飛ばした。
「……」
アイビーは妖魔を見つめた後、杖を構え直す。魔物は地面に綺麗に着地すると、アイビーに向かって走り出した。
アイビーが呪文を唱えると、杖が剣に形を変える。その剣を、アイビーは構えた。
アイビーを見つめ、妖魔は吠えるとアイビーに向かって走り出す。
妖魔の爪と、アイビーの剣がぶつかる音がした。
「……この妖魔……強い」
アイビーは、剣で妖魔を吹き飛ばすと呟く。次の瞬間、アイビーの体は吹き飛んで、アイビーは近くの木に叩きつけられた。
「アイビー!」
その声に隣を見ると、輝一はアイビーに近寄ろうとしていて、それを大智が輝一の手を掴んで止めていた。
「大智、放せ!!」
大智は、暴れる輝一を放すことなく輝一を見つめる。そして、無言でアイビーのいる方を向いた。
「……」
僕がアイビーの方を見ると、アイビーは立ち上がって妖魔を見据えてる。