七色の魔法使い~冬に溶けた涙~
それだけ言うと、僕は部屋を出ようとする。アイビーは「……そんなことないです」と言った。

「少なくとも、僕はあなたの味方です!いつでも僕を頼ってくださいね」

「……」

僕はアイビーの方を見ると、何も言わずにそのまま部屋を出て、いつもの部屋に向かって歩き出した。



僕は椅子に座って絵を描いていた。部屋に来てみたけど、誰もいなかったんだ。

輪郭を描いてから、目や髪を描いて……。

「……何を描いてんの?」

夢中になって絵を描いてると、声が聞こえてきて、僕は手を止めて顔を上げる。輝一が、笑いながら僕の絵を見つめてた。

「……僕の創作キャラ」

それだけ答えると、僕は絵に集中しようとする。

「すごい!上手い!!俺、お前の絵柄が好きかも」

僕が顔を上げると、輝一は明るい笑顔を僕に見せた。

「……そうかな……?」

「うん。冬都の絵、もっと見たい!」

僕は「良いけど、今は持ってない」と返す。

「また向こうの世界で会う機会があったら、見てみたいな……」

「会う機会があれば……ね」

僕は、そう言って立ち上がった。館の外から何かがぶつかるような音が聞こえたから。

「外から、何か音が聞こえたよね……何だろ?」
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