翠玉の監察医 零度の教室
佐々木の言葉に対し、蘭は表情を変えることなく答える。

「私たちは解剖と共に誠さんが自殺をすることになった原因を調べるよう依頼されました。そのため、話を伺いに来たのです」

「原因は学校にはありませんよ。うちは名門中学校です。人が自殺するようなことなど……」

そう足を組み偉そうな態度を取る校長に対し、圭介は苛立ちを覚える。しかし、蘭は淡々と言葉を口にした。

「それは調べない限りわかりません」

「調べても無駄ですよ」

校長と佐々木は馬鹿にしたように笑う。圭介は怒鳴りたくなるのをグッと堪え、蘭は黙って笑い続ける二人を見つめる。

「……神楽さん、もう行きましょう。こんなところにいたら時間の無駄です」

圭介は耐えられなくなり、蘭に声をかける。蘭は「そうね」と頷き、まだ笑い続けている二人を見ながら立ち上がる。

「教室の方を見させていただきます」

そう言う蘭に校長たちはまだ笑い続けている。そんな二人に蘭は言った。
< 15 / 28 >

この作品をシェア

pagetop