翠玉の監察医 零度の教室
「お姉さん、すごく美人だよね。女優さんかってくらい。それにスタイルもいいし、ヤバ!めっちゃ俺の好みなんだけど」

肩などに触れていたユキトの手は蘭の胸に触れようとする。圭介が「それ以上はやめろ!!」と叫ぶが、どうすることもできない。その時、無表情のまま蘭がユキトの手を素早く掴んだ。

「あなたは私の同意なしに触りました。これは強制わいせつという犯罪です」

蘭はそう言うが、ユキトは笑ったまま「わいせつ?何それ、俺まだ中学生だよ?」と言う。蘭は無表情のまま言った。

「私にはあなたから抵抗する権利、そしてあなたを訴える権利があります」

そう蘭が言った刹那、ユキトの体がその場に崩れ落ちる。蘭がユキトの足を思い切り蹴り上げたのだ。

「なっ!」

驚く翔馬と建も蘭は手刀を叩き込み、圭介を掴んでいる腕を離させる。

「訴えようたって無駄さ。俺の親は金持ちだ。何とでもなる」

ユキトがそう言い、蘭は冷たい目を向ける。そして圭介に「お怪我はありませんか?」と訊ねた。
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