君中毒-Another Stories-



「…あ、そうだ。」


黙々と片付けをする私の横で、佐野くんが言った。



「オレ、飼育係やめる。」



―…え?


驚いて振り向く私と、淡々とした様子の佐野くん。



「オレの代わりに智広(ちひろ)がやってくれるから。ま、これからも頑張れ。」



……それって私に押し付けるってこと?



佐野くんは、いつもそう。


昨日だって…今だって。



私には考える暇を与えずに逃げて行く。



何か、そういうの。


卑怯だし、ずるくない?


自分の言いたいことだけ言って言い逃げなんて。



―…だから私は、佐野くんが嫌いなんだ。


自分勝手で、強引で。


典型的な俺様タイプ。




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