君中毒-Another Stories-
私の中で、プチンと何かが切れたような音がした。
「……………い。」
「……は?」
「佐野くんの、そういうところが嫌いなんだってば!!」
気付くと、私は思い切り自分の気持ちをぶつけていた。
「意味分かんないことばっかり言うし、自分勝手だし。」
「…福永瑛―…」
細いフェンス越しに伸びてくる、佐野くんの腕。
私の体は、無意識にそれを拒絶していた。
「……や…っ…」
弾き返す腕。
佐野くんと私の間だけ、時間が止まったみたいな感覚。
佐野くんは、ぼんやりと自分の腕を見つめていた。
……怖かった。
また、昨日みたいなことされるんじゃないかって。
あんなの、気持ち悪いだけだったんだもん……
「…あっそ。」
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