君中毒-Another Stories-
車のフロントガラス越しに、ゆいが見たのは―…
「オレのマンション。」
何階建てなのかも分からない超高層なマンションで。
……やばい。
この後、どうなるかの予想ならゆいでも出来る。
「…帰ります!」
「えー…ね、頼むから上がってってよ?」
「嫌です!!ゆいも忙しいのー」
「何もしない!!絶対、ゆいちゃんが想像してるようなことはないから!」
顔の前で両手を合わせながら頭を下げる侑次さん。
「…本当ですか?」
「本当の本当に!」
「指切りげんまんしますか?」
「するする!!」
指きりげんまんのメロディに合わせて小指を上下に動かす。
…一応、携帯は握っとこう。
いつでも警察に電話出来るようにしなくちゃ…
そして侑次さんに、もう1度固く約束させてからマンションに足を踏み入れた。
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