小動物な後輩君の愛が深すぎる
突然の再会
「いってきまーす」
「いってらっしゃ~い」
5月下旬、月曜日の午前8時。
澄み渡った青空の下、私、青石清花は、顎下で切り揃えたショートヘアを風に揺らしながら、歩いて学校へ向かう。
今日の天気は快晴。
首元は風を通して涼しいけど、ちょっぴり暑い。
袖をめくり、シャツをパタパタさせて服の中に風を送り込む。
「清花、おはよー」
信号を待っていると、凛々しい顔をしたモデル体型の男の子が自転車に乗ってやってきた。
彼は中学時代の同級生、黒瀬隼。同じ高校に通う2年生。
「おはよう。珍しく早いね。いつも遅刻ギリギリなのに」
「テスト近いし、清花を見習って勉強しようと思ってさー」
自転車から降りた彼と並んで横断歩道を渡る。
切れ長の目が特徴的な隼は、一見近寄りがたい印象。
だけど、実は少し時間にルーズで、自由な性格の持ち主。
中学の頃から、ギリギリの時間に登校してて、毎朝のようにバタバタ走って教室に駆け込んでいた。
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