小動物な後輩君の愛が深すぎる
掴まれていた手首を見せると、隼くんの口から大きな溜め息が吐かれて。



「ケンカしてるのかと思って慌てて来たら、本当お前らなぁ……」

「「だから……!」」

「今日何の日かわかってるよな?」

「「…………」」



隼くんの後ろで、心配そうに樹が顔を覗かせている。

厳しい指摘を受け、俺達は返す言葉もなく強く反省した。



「あの、ひとつだけ聞いてもいいですか?」

「何……?」

「その紙に、俺の悪口書いてありませんでしたか……⁉」



俺にだけ断固拒否するってことは、俺に関する内容なはず。

それに、読みながら時々目丸くしてたから、多分衝撃的な内容だろう。

思いつく内容としては悪口しか考えられない。


なぜなら、当時反抗期真っ只中だった俺は、姉ちゃんに対して冷たい態度を取っていたから。

あまり家で怒る姿を見たことがなかったから、もしかしたら交換ノートで発散していたのかもしれない。



「悪口じゃないよ、安心して」

「じゃあなんで見せてくれないんですか?」

「それは……」



と、彼女は声を詰まらせ俯いた。

……その反応、やっぱり俺に関することじゃん。
俺に知られたらいけないことが書いてあるわけ?
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