小動物な後輩君の愛が深すぎる
『『『海先生……!』』』


『…………いじめ?』

『ち、違います!』

『じゃあなんで彼女達は泣いているの?』



先生を見るや否や、絶望的な顔をした先輩達は、慌てて私と綿原さんから離れた。

冷酷な目つきで睨む先生に、こちらも緊張が走る。



『すいませんでした……! 行こうぜ!』



バタバタと彼らが走り去っていくと、腰が抜けてその場にへなへなと座り込んだ。

震える体を両手で抱きしめるように押さえる。

まだ掴まれた感触が残っていて気持ち悪い。


海先生が来なかったら私……。



『ごめんなさい……私のせいで本当にごめんなさい……』

『ううん、ケガしてない?』

『うん……ありがとう』



すると、綿原さんに抱きしめられた。

背中に回った手が少し震えている。

……怖かったよね。

その感触に再び涙が頬を伝った。


その後、保健室でケガがないか診てもらった際に、『無茶をするな』と隼に叱られた。

私達が争っている間に先生を呼びに行ってくれたらしい。隼ごめんね、ありがとう。
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