小動物な後輩君の愛が深すぎる
勉強は苦手だったけど、運動は得意だった姉ちゃん。

バカみたいに明るくて、笑い声がデカくて。
俺のことをチビだとかうさぎだとか、いつもからかっていた。


思春期真っ只中ってのもあって、話しかけんな、絡んでくるなって、一緒にいるのが恥ずかしいと思う時もあった。

けど……。



「智恵理さんに……家族に会うのが怖かったんです……」

「なんだよそれ……」



計画性もないし、面倒事も嫌い。

ちょっと呆れる時もあったけど……朝練前にも自主トレするくらい、部活に力を入れていて、人一倍努力家だった。


俺が起きると同時に、ランニングから帰ってきていたり、部屋で黙々と筋トレしていたり。

部活があろうがなかろうが、天気が良かろうが悪かろうが、毎日練習に励んでいた。


それゆえ、内気で友達が少なかった俺を気にかけてくれて……。

姉ちゃんのおかげで今の自分がいると言っても過言ではない。


家族思いで優しくて、すごくかっこいいなぁって、内心尊敬していたんだ。


なのに、なのに……っ!



「会うのが怖かった……? 俺らがどれだけ苦しめられたかわかってんのかよ‼ 返せ……姉ちゃんを返せ‼」

「透瑠くん!」
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