小動物な後輩君の愛が深すぎる
怒鳴り声を上げた瞬間、清花さんに腕を掴まれた。

ここまで走ってきたのか、少し息が荒い。



「気持ちはわかるけど……ここで騒いだらダメだよ」

「……っ」



冷静に指摘され、ハッと我に返る。

周りを見渡すと、チラチラとこちらに視線を向けながら校門を出ていく生徒達が。


清花さんが止めてなかったら、俺、今頃……。


体の力がフッと抜け、肩を掴んでいた手を離した。



「……中島さん、今日のところは帰ってくれませんか」

「わかりました……また日を改めて来ます」



目の前で彼女達が会話を交わすも、放心状態の今の自分には口を挟む気力もなく……。

彼女が去るのをぼうっと立ち尽くして見ていることしかできなかった。







「……取り乱してすみませんでした」

「ううん。私こそ……ちゃんと話さなくてごめんね」



彼女と口論した後、そのまま清花さんと公園に向かい、ベンチに座っている。



「あの人……清花さんと姉ちゃんの同級生だったんですね」

「うん……言えなくてごめんね。いきなりだったもんだから……気が動転してて」
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