小動物な後輩君の愛が深すぎる
他にも、その現場を見た生徒がいたものの、「チクったら家族をめちゃくちゃにしてやる」と、脅されたらしく。
先生に報告できず、黙っているしかできなかったのだそう。
まさか、学校があんな先輩に……権力者に取り入ってたなんて、反吐が出る。
「私は見つからなかったから脅されなかったんだけど、智恵理から、誰にも言わないでほしいってお願いされたの。
『家族に、特に透瑠には迷惑かけたくない。
友達もできて、やっと学校生活に慣れてきたから、巻き込みたくない』って言って……」
言葉を詰まらせる清花さん。
相談できない分、せめて支えになろうと、一緒に過ごすようにしていた。
けど……夏休みに入ってから部活で交流が減ってしまった。
話によると、姉ちゃんと彼女は同じ部活で、恐らくいじめが酷くなって、限界を迎えたのではないか、とのこと。
「智恵理のこと、助けられなくてごめん……」
「清花さんは何も悪くないです。傍にいてくれて……支えてくれてありがとうございました」
ずっとひとりで抱え込んでいたなんて、知らなかった。
家族にも、隼くんにも樹にも、誰にも言えずに苦しんでたなんて知らなかった。
