小動物な後輩君の愛が深すぎる
引っ越し前日の夕方──みんなで見送りに来てくれた時。
隼くんも樹も、笑顔で送り出してくれたけど……清花さんだけは、顔は青白く、頬はこけて、少し切ない顔で笑っていた。
最後に握手した時も、指も一回り細くなっていて……。
その時、清花さんにとって姉ちゃんはかけがえのない存在だったんだって気づいて、心が痛くなった。
「ただいま」
「おかえり」
清花さんと別れて帰宅。
姉ちゃんの話を聞いただけで、告白はしなかった。
まぁ、普通に考えて、あんな精神状態でできるわけないし。
もう少し日を置いてからにしよう。
手を洗ってそのまま和室へ向かい、仏壇の前で腰を下ろし、
「……ただいま」
笑顔で写真に写っている姉に声をかけた。
……清花さんに全部聞いたよ。
この写真を撮った時も苦しんでたの?
清花さんに、『誰にも言わないで』って必死に口止めしてたの?
アザを見つけた時に、もう少ししつこく問い詰めていたら、何か変わっていたのかな。