小動物な後輩君の愛が深すぎる


「あっ、透瑠」



和室を後にし、着替えに部屋に戻ろうとすると、母に呼び止められた。



「今さっき、中島さんって人から電話が来て、私達に謝りたいって……」

「は……?」



母の口から出た彼女の名前に眉をひそめる。



「智恵理のことで、今日透瑠に会ったって……何か知ってるの?」

「…………」



あり得ない。


いきなり現れて、暴露されて、謝られて。

精神をグリグリえぐられて、最終的には取り乱してしまった。


たった小一時間ほど前なのに、よく電話してきたな。
ってか、また日を改めて来ますって言ってなかったっけ?

謝罪さえできれば、俺の精神状態は関係ないってか?



「ねぇ、とお……」

「知らない。俺疲れてるから。……しばらくひとりにさせて」



これ以上その名前を、話を聞きたくなくて、吐き捨てるように否定して自分の部屋に戻った。

何も悪くない母に強く当たってしまい、罪悪感に苛まれる。


『私達に謝りたい』
それって……親父と母さんも含まれてるわけだよな。
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