小動物な後輩君の愛が深すぎる
──カチャッ。
部屋着に着替えて、隣の部屋のドアを開けた。
机、椅子、本棚、テーブル。
生前と変わらない家具の配置。
……ただひとつを除いては。
散らかっていた机の上は綺麗に整理されて、カーテンがゆらゆらと揺れている。
姉ちゃんが亡くなってから、この部屋には一歩も足を踏み入れていなかった。
『姉ちゃん、もう7時過ぎてるよ? 起きてる? おーい。開けるよー?』
3年前の始業式の朝。
時間になっても、なかなか起きて来なくて、母さんに頼まれて起こしに向かった。
窓際のポッカリ空いたスペースに視線を落とす。
お気に入りの動物柄のパジャマを着て、棚に飾っていた、小さい頃から好きだったキャラクターのぬいぐるみを抱えて──ベッドの上で冷たく眠っていた。
……やっぱりまだちょっと無理があったかな。
窓際に移動し、太陽の光と少し肌寒い風に当たり、速まる鼓動を抑える。
『あの子……ずっとサポーターつけてたわよね。時々アザも作ってたし。部活で苦しんでいたのかしら……』
『うーん、姉ちゃん練習の鬼だったからなぁ』