小動物な後輩君の愛が深すぎる


ふと、窓際近くの棚に視線を移すと、遺品整理をしていた母の姿が目に浮かんだ。


げっそりやつれて、家事もままならないぐらい変わり果てた母さんは、ここで未開封のサポーターを握りしめていた。

親父も、母さんがボロボロだったから、自分はしっかりしないとって、平然を装っていたけど……日に日に頬がこけていってたのを知っている。


今は時々うざったいくらい明るくなったから良かったけど、当時は心ここにあらずで、多分魂抜けていたと思う。



自分の部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。



「なんで今なんだよ……」



あの人……また電話してくるよな。
母さんに謝ったんなら、親父にも謝ってくるはずだし。

もうこれ以上、俺達を苦しめないで──。







「ただいまー」



日曜日の夕方。
樹とボウリングを楽しんで帰宅すると、玄関に見慣れない靴が置いてあった。

男物がひとつ、女物がふたつ…………まさか。


嫌な予感がして、そのままリビング……ではなく、和室の襖を開けた。



「透瑠、こっちに来なさい」
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