小動物な後輩君の愛が深すぎる
ふと、窓際近くの棚に視線を移すと、遺品整理をしていた母の姿が目に浮かんだ。
げっそりやつれて、家事もままならないぐらい変わり果てた母さんは、ここで未開封のサポーターを握りしめていた。
親父も、母さんがボロボロだったから、自分はしっかりしないとって、平然を装っていたけど……日に日に頬がこけていってたのを知っている。
今は時々うざったいくらい明るくなったから良かったけど、当時は心ここにあらずで、多分魂抜けていたと思う。
自分の部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。
「なんで今なんだよ……」
あの人……また電話してくるよな。
母さんに謝ったんなら、親父にも謝ってくるはずだし。
もうこれ以上、俺達を苦しめないで──。
◇
「ただいまー」
日曜日の夕方。
樹とボウリングを楽しんで帰宅すると、玄関に見慣れない靴が置いてあった。
男物がひとつ、女物がふたつ…………まさか。
嫌な予感がして、そのままリビング……ではなく、和室の襖を開けた。
「透瑠、こっちに来なさい」