小動物な後輩君の愛が深すぎる




「ハッピーバレンタイン!」

「ありがとう! 私も作ってきたよ!」



迎えたバレンタイン前の金曜日。

教室と廊下から、女子達がお菓子を交換する声が聞こえてくる。


今日渡そうか悩んだが、暖房で悪くならないか不安だったので、当日呼び出して渡すことにした。



「ん~、今日はいい匂いがするねぇ~」

「嗅ぎすぎ」



チョコの甘い匂いを嗅ぐ樹。

教室に入ってくる女子達の手にはお菓子がたくさん。

暖房が効いてる上に、空気がこもってるから、より甘ったるく感じる。


寒いけど、新鮮な空気を吸いに一旦外に出よう。



「……うわぁ! 清花さん!」

「おっ、透瑠くん!」



教室のドアを開けると、いきなり清花さんが現れた。

手にはラッピングされた袋がふたつ。
もしかして。



「ちょうど良かった! 今日バレンタインだからお菓子作ってきたの! どうぞ!」

「ありがとうございます……」



ラッピングされたお菓子を受け取ると、彼女は教室にいる樹にもお菓子を渡し、颯爽と去っていった。
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