小動物な後輩君の愛が深すぎる

口元をニヤつかせた樹に、顔の熱がカーッと上がる。

こいつ……俺の気持ちを知ってて……!


途端に恥ずかしくなって、やり場のない苛立ちをぶつけるように、樹の背中を一発叩いた。



学校が近くなってくると、心なしか視線を感じるように。

どうやら、同じ制服姿の生徒達が俺の顔を見てヒソヒソ話している。


一体何だ……?



「なぁ、さっきからチラチラ見られてんだけど……なんでだろ」

「昨日運ばれてたからじゃない?」



えっ⁉ もう噂になってんの⁉



「マジかよ……」

「大丈夫だよ。悪いことしてないんだから」



実はこの学校、元は男子校だった。

昨日、ここの卒業生でもある保健室の海先生に教えてもらったのだけど、男子校時代は情報がバンバン飛び交っていたらしく、とても賑やかだったんだとか。


その名残なのか、今も情報や噂が校内に回るのが早いんだそう。


今は共学になって、生徒達もおとなしくなっているけれど、昔は男ばっかりだったのもあって、問題児が多かったらしい。

噂話がすぐ広まって、本人の耳に入ってケンカに……みたいな感じかな。
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