小動物な後輩君の愛が深すぎる

お腹を満たしたところで時間を確認すると、花火大会の開始時間が近づいていた。



「そういえば、場所は見つかったの?」

「はい。まだ内緒です」

「えー、気になるなぁ」



どんな場所なんだろうとワクワクしながら歩くこと十数分後。
やってきたのは、会場から少し離れた丘。

どうやら穴場らしい。


しばらくすると、ちらほら人が集まってきた。
ここが綺麗に見えるのを知っているのだろう。



「カップルが多いね」

「わー、ほんとだー」



浴衣姿のカップルを見て、ハハハと乾いた笑みを漏らした透瑠くん。


さっきから目が笑ってないよ。冷めてる冷めてる。

感情を抑えてるつもりなんだろうけど、顔に羨ましいって書いてあるよ。


……でも、傍から見たら私達も浴衣着てるし、リア充って思われてるんじゃない……?



──ヒュルルル……ドン!


雑談して時間を潰していると、大きな赤い花火が上がった。



「わぁ~! 確かにバッチリ見えるね!」

「でしょ? 遮る建物がないから、小さい花火でもよく見えるんです」



丸型の花火に加え、ハート型や惑星型、にこちゃんマークの花火もハッキリ見える。

去年は人混みの中で見たから、小さい花火はもちろん、大きい花火も少し見えづらかったんだよね。
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