危険な溺甘同居、始めます!
「か、彼方くん……?」
そう声をかけても無言のままだ。
ど、どうしたんだろう、本当に……。
「…ごめん、一華。兄さんだって知ってたら俺が出たのに」
「え?え?全然それはいいんだけど……」
全く気にしてないというか、なんというか。
ただ、私は…
「なんで、そんな顔するの……?」
辛そうな、苦しそうな彼方くんの顔は見たくない……。
「どうしたの…彼方くん」
彼方くんの背中に手を回してさする。
なんでそんな泣きそうな顔をするのだろうか。私は、全然彼方くんのこと、知らないのかもしれない。
「大丈夫だよ…なにか不安なことでもあったの?そんな顔しないで、私も悲しいよ」
きっと、彼方くんと陽方さんの間に何かあったんだろうなとは思う。
でも、無理にそんなこと聞こうとは思わないから。