危険な溺甘同居、始めます!




大丈夫、大丈夫、と彼方くんに声をかける。


「一華は……兄さんの方がいい?」

「え?」

「俺から離れないで……」


震えた声でそういう彼方くんにギュッと心臓が掴まれたように痛くなる。


「離れないよ。私、何があっても彼方くんの味方だよ。私は彼方くんがいいよ」

「…っ、兄さんとは、会わせたくなかった」


彼方くん……何がそんなにあなたを苦しめるの……。


しばらくして彼方くんは落ち着いたのか私の体をゆっくり離した。


「大丈夫?」

「うん、ごめん」


そう言って抜け殻のように笑った彼方くんを見て胸が苦しくなる。

彼方くんに安心してもらいたい……と思って私は彼方くんの頭に手を伸ばして、撫でてあげる。





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