危険な溺甘同居、始めます!
それを聞くだけで余計気分を悪くさせる。
母さんは帰ってこないから家に女を呼ぶようになったんだろうけど、俺は本当にそれが嫌だった。
「あれっ、彼方おかえり」
女を見送った後にリビングのドアを開けて俺に話しかける兄さんがニコニコ笑っていて、ギロリと睨みつける。
それが毎日のように続いて、帰ってきたら真っ先に女の香水の匂いが鼻につくから家に帰りたくもなくなる。
日によって違う女が家を出入りして、息苦しかった。
「あれぇー?彼方くんじゃーん」
たまに家ですれ違う時もあるが無視。思えば、この時から女は苦手だったのだろう。
「俺ん家泊まりに来る?」
瑠衣は昔からの幼なじみで、俺の家の状況を知っているから、よく瑠衣の家に泊めてくれた。
瑠衣もチャラいけど、女遊びとかはしないし、幼なじみということで唯一気を許せる友達だった。