危険な溺甘同居、始めます!
そんな私を見て陽方さんは優しく笑った。
その顔はどこか彼方くんにやっぱり似ていて。
「一華ちゃん、きっと気づいてないんだね」
「え?な、なにを…」
「自分の気持ちに」
私の、気持ち……。
気づこうとしてる。なのに、わからないの。この気持ちはなに……?知らない。知らない感情。
「そんな困った顔しないで。ほら、もう着くよ」
「あっ…」
ほんとだ。もう家だ。
なぜか、今は早く家に帰りたい。彼方くんに会いたい。
「あ、あの、送ってくれてありがとうございましたっ…」
と陽方さんに言ったすぐに。
家のドアがガチャっと開けられた。
振り向くと、視界に入ってきたのは、
「…一華……?」
「っ!彼方くん…!」
驚いたのか目を見開いて私を見る彼方くん。