危険な溺甘同居、始めます!
そんな彼方くんを見て胸の奥がキュウと締め付けられる。
なんだろう。なぜか彼方くんを見るだけで泣きそうになる。どこにも行き場のないこの感情が溢れそうで、泣きたくなる。
彼方くんは他の人への感情とは違う。特別なんだ。
これが、恋なのだろうか。
そう思っただけで、ストンと心が軽くなった気がした。
あぁ、私……彼方くんが、好きなんだ。気づいてなかっただけで、結構前から特別だったのかも。
「ははっ、一華ちゃん、スッキリした顔してるね」
「…はい……っ」
「気づけたのかな?よかったね」
陽方さんはすぐ察してくれて笑ってくれた。
そんな陽方さんにありがとうございましたとお礼を言う。
「……なんで、兄さんといるの?」
「…っ、え?あっ」
すぐ近くて私の大好きな声がしてドキッと胸が高鳴る。
彼方くんに振り向くより先に、彼方くんは私の腕を掴み引き寄せる。ふわっと香った彼方くんの香りに胸がいっぱいになる。