危険な溺甘同居、始めます!
「まあまあ。一華ちゃんと偶然会ったから送っただけだよ。何もしてないから」
「……一華、ほんと?」
何もしてない。その言葉を聞いて、私に問いかけてくる彼方くんにコクンと頷く。
「じゃ、またね一華ちゃん、彼方」
そう言って去っていく陽方さん。
「彼方く……っ」
すると、私は彼方くんに手を引っ張られて家に入った。
あ、なんかこれ、前にも同じことがあったような。
バタン
ドアが閉まった瞬間。
また彼方くんの匂いが鼻をくすぐった。
彼方くんに抱きしめられ、ドキドキと心臓が加速すると。
「…なんで言わないの」
「…っ、」
彼方くんの声はどこか不機嫌で。
なにを…っ、と思っていると
「…俺が迎えに行ったのに」