危険な溺甘同居、始めます!





「まあまあ。一華ちゃんと偶然会ったから送っただけだよ。何もしてないから」

「……一華、ほんと?」


何もしてない。その言葉を聞いて、私に問いかけてくる彼方くんにコクンと頷く。


「じゃ、またね一華ちゃん、彼方」


そう言って去っていく陽方さん。


「彼方く……っ」


すると、私は彼方くんに手を引っ張られて家に入った。
あ、なんかこれ、前にも同じことがあったような。


バタン


ドアが閉まった瞬間。

また彼方くんの匂いが鼻をくすぐった。
彼方くんに抱きしめられ、ドキドキと心臓が加速すると。


「…なんで言わないの」

「…っ、」


彼方くんの声はどこか不機嫌で。
なにを…っ、と思っていると


「…俺が迎えに行ったのに」



< 194 / 257 >

この作品をシェア

pagetop