危険な溺甘同居、始めます!
「あ……っ、まって!」
離してっと抵抗するけど手に力が入らない。
力強い……っビクともしない。
そのまま引っ張られて歩く。
震えが増して余計抵抗できなくなる。
どうしよう、どうしよう。お願い。助けて。
「彼方くん……っ」
無意識に彼の名前を呼びギュッと目を瞑ると、ふわっと知ってる香りが私の鼻をくすぐった。
気づいたら手は離され、男から距離ができている。
私の肩を引き寄せて、助けてくれたのはやっぱり……
「…一華に触んな」
「っ、彼方、くん……っ」
助けてくれた……よかった……っ。
目に涙が溜まって、すぐにポロッと流れる。
彼方くんからは地を這うような低い声が出ていて、普通なら怖気付くけど、今はそれがすごく安心する。
「だ、誰だよお前……っ」
「それ関係ある?むかつくから早くどっか行ってくんない」