危険な溺甘同居、始めます！

彼方くんは私が泣いてるのに気づいたのか、それを隠すように軽く抱きしめてくれる。


「早く。失せろ」


彼方くんがさっきより強く、低くそう言うと、男の人は舌打ちをして走って逃げていった音がした。


「…っ、一華！」


ぱっと私の身体を離して顔を覗いてこようとする彼方くん。
やだ……っ、離れないで……っ。
そんな彼に私は自分から抱きついた。


「っ、え？一華……」

「怖か……っ、うぅっ」


ポロポロと溢れる涙は止まってくれなくて。
彼方くんの服を濡らしちゃうのに、でも離れたくなくて。
ぎゅっと強く腕を回すと、彼方くんは抱き締め返してくれる。


「怖かったよね。ごめん、遅くなって」


彼方くんの声が、若干震えてるように聞こえる。
その声から、本当に心配してくれてることがわかって余計涙が止まらない。