君は桜色。
君のキオク
僕と咲菜は幼稚園から
高校まで同じ学校に通っていて、
家も近いいわゆる幼馴染みだ。

そして、互いに想いを寄せあっていた。

実際、あの事件以前の僕らは
付き合ってこそいないものの
周りからもお似合いカップル、
なんて言われてからかわれることも
しばしばあったくらいだ。

僕は咲菜が好きだった。

気付いたときには彼女のことを
友人としてではなく女として
見てしまっている自分がいた。

咲菜は優しくて、他人想い、
そして責任感が人一倍強くて。

その美しい性格に惹かれたのだ。

僕らは幼馴染みとして長年ずっと
一緒にやってきたし、これからも
こんな時間が続くのだろうと思っていた。

だが、現実は酷なもの。
神様は僕に最悪の地獄を見せた。
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