ブエノスアイレスに咲く花
僕が冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、
「大丈夫なのかよ」と相沢が言った。
「何が?」と僕が聞くと、
相沢は頭を指差して見せた。
「検査結果に異常はなかったよ、
もう、普通の生活を送っていいらしい」
僕はそう言って缶ビールのフタを開けて相沢に渡し、
自分の分の缶のフタも開けた。
「お世話になりました」
と僕が言って缶ビールを掲げると、
「なんもしてねーよ」
と言って相沢が自分の缶をぶつけ、
久しぶりの乾杯になった。
「普通の生活ってことは奈津美とも
そろそろいいんじゃねーの?」
僕は久しぶりのビールの一口目を多めに飲み、
相沢の【猥談】をスルーした。
すると彼は諦めて、
子供のような持ち方で箸を取り、
パスタを皿に取り分けていた。