ブエノスアイレスに咲く花
─エピローグ─

花粉襲来


この時期、
朝起きると既に鼻腔は完全に封鎖され、
体を起こすとくしゃみの嵐に襲われる。

今年も桜前線より早く、
花粉前線が上陸していた。

僕は研究室を出て選択科目の履修登録の確認をしに
学生情報端末のある1階へと降りる階段の途中で、
研究室に向かう相沢とすれ違った。

「あー飯飯、飯食おうぜ」

そう言って相沢はレポートをひらひらさせて
階段を上がっていった。

「1階にいるよ」

僕は少し大きな声で言い、階段を降りた。
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