ブエノスアイレスに咲く花

「河野くん、
 今日の昼の便でニューヨークでしょ、
 だからどうしても会いたくて
 瞳、夕べ何回か電話したらしいの、
 あ、シャワー、使う?」

サキは僕に着替えのパジャマを用意してくれた。

僕はそれを受け取って
「続き聞いたら、借りるよ」
と言ってベッドに腰掛けた。

「そしたらメールで返事が来て、
 支度が終わらないから、無理って。
 胸騒ぎがして家に行ったら、
 部屋に女がいたんだって、本当さいあく」

河野の浮気はこれで何回目だろう。

瞳はそのたびにサキに泣きついて、
サキは毎回別れろと言う。
< 38 / 137 >

この作品をシェア

pagetop