ブエノスアイレスに咲く花
「河野くん、
今日の昼の便でニューヨークでしょ、
だからどうしても会いたくて
瞳、夕べ何回か電話したらしいの、
あ、シャワー、使う?」
サキは僕に着替えのパジャマを用意してくれた。
僕はそれを受け取って
「続き聞いたら、借りるよ」
と言ってベッドに腰掛けた。
「そしたらメールで返事が来て、
支度が終わらないから、無理って。
胸騒ぎがして家に行ったら、
部屋に女がいたんだって、本当さいあく」
河野の浮気はこれで何回目だろう。
瞳はそのたびにサキに泣きついて、
サキは毎回別れろと言う。