ブエノスアイレスに咲く花

「ついにエラ呼吸法を習得したわけ」

僕が後を追って教室を出ると、
昼休みになった廊下には学生が溢れていた。

「なぁ島田博士、類人猿と鳥類、両生類だったら、
　やっぱり鳥類が進化の最終形態だよな？」

「水・陸・空を制する、か。
　進化の定義は知能か身体能力か、
　実に趣深い質問だね、相沢くん」


僕たちは北校舎を出て中庭を横切り、
購買部の前を通って学食に向かった。

食券機は長蛇の列だ。
出入り口から程近くの席が2席だけ空いていた。

「ラッキー、あ、俺ハヤシライス」

相沢は音を立てて椅子を引きずり、
腰掛けると財布を渡しながら言った。

僕は奈津美が来たら席がないことを思う一方で、
ここなら容易に僕たちを見つけられるだろうと
思い、まずはそのテーブルに荷物を置いた。